前立腺癌は前立腺の外腺部分から発生する事が多く十数年前は肛門から診察する直腸診で見つかる事がほとんどでした。
現在でも進行したものは直腸診で癌の疑いと診断される時も有りますが、最近は血液検査でPSAという前立腺癌特有の腫瘍マーカーを測定することにより前立腺癌が発見されるようになりました。
当院でも人間ドックの検査項目に入れています。ただPSAが高いからすぐ前立腺癌であるとは診断出来ませんので、確定診断するためには、前立腺の一部を生検針という特殊な針で六~十二カ所位採取して癌細胞の有無を調べる必要があります。
最近はこのマーカーのおかげで早期癌が見つかるようになり、治療として七十才迄であれば前立腺全摘除術を行い完治できるようになって来ました。
しかし、七十才以上の場合は寿命との関係で根治手術の意義があるのかどうか難しいところがあります。幸い、この癌はホルモン依存性の癌で男性ホルモンが癌を進行させる作用があり、女性ホルモンは癌を萎縮させる作用があります。
これを利用した抗男性ホルモン療法がかなり効果があるため、手術をせず抗男性ホルモン療法で経過を見ることが行われます。